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宮口公認会計士・税理士事務所 【電話番号】03-4588-6375 【住所】 東京都中央区日本橋1-2-10東洋ビル6階

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ベンチャーファイナンスの進化

2016年04月23日

所長の宮口です。最近、IPOに向けた非上場会社の株式評価を依頼されることが多いのですが、フィンテック系のベンチャー企業(VB)の株価評価を行った際、ベンチャーキャピタル(VC)の優先株出資が多数入っており、非常に勉強になりました。昨日TMI総合法律事務所の弁護士によるセミナーにも参加しましたが、最近のVC出資の大半は種類株出資とのことです。私も2000年のIPOバブルの時代には証券会社で公開引受けを担当していましたが、当時のVCはほぼ全て普通株出資でしたので、時代の流れを感じます。シリコンバレーのベンチャー企業のファイナンススキームを輸入したものですが代表的な商品設計を以下、ご紹介します。

1.日本版コンバーティブルノート(Convertible Note)

ベース:転換社債型新株引受権付社債
利息:無利息
満期及び償還:3年後に額面償還
転換価格:①今後行われる増資の発行価格の80%に相当する額と②1億円÷発行済株式総数のいずれか低い方

シード期のVBでValuation(株式評価)が難しい場合に、手っ取り早く資金調達する際によく用いられる手法です。転換価格につき今後の増資価格の80%水準とすることにより、常に利益が得られる状態を確保できます。また増資価格が跳ね上がった場合に備えて上記②のように一定のキャップが設定されるケースが多いようです。

2.種類株式

シード期を脱したVBに対するVC出資は以下のような商品設計の種類株式が多いようです。

優先配当:出資額☓数%の優先配当権(参加・非累積型)
残余財産分配:出資額相当額の優先分配権(参加型)。M&Aなど流動化イベント発生時には清算とみなして同様の取扱い(みなし清算事由)
取得請求権:いつでも普通株式1株に転換可能
取得条項:IPO申請の取締役会決議時に強制的に普通株式1株に転換可能

VB投資のリスクを軽減するために優先分配権を定めて出資額の回収を図る設計となっています。通常、VBはIPOに至る過程で数次のラウンドの増資を行いますので複数の優先株式が併存することになりますが、一般的には後発の増資が優先的に分配を受ける権利を有する設計にするケースが多いとのことです。日本の上場実務上、原則として種類株式の持越しが認められていないため、IPO申請前に取得条項が行使され強制的に普通株に転換されます。

こうした株式ををどう時価評価するかはとても悩ましい問題ですが、日本の会計基準上、絶対的な基準はありません。
公認会計士協会が公表している「種類株式の評価事例」では、普通株式に優先分配権分のプットオプションが付されたものと整理して、「優先株式時価=普通株式時価+プットオプション価値☓行使確率」で評価する手法が紹介されています。この場合、プットオプション価値はブラックショールズモデル等で評価するにしても、オプションの行使確率は主観が介在せざるを得ないという問題が残ります。なお、上記評価事例では、VC投資のM&AによるEXITの実績データから80%とされています。

また、有限責任監査法人トーマツの経済産業省向け報告書「平成23年度ベンチャー企業における発行種類株の価値算定モデルに関する調査」では、米国の会計士協会が公表したガイドラインが紹介されており、優先株式は普通株式ともに企業価値をシェアするコールオプションであるとの整理のもと、オプション評価モデルにより、優先株の評価を行う手法などが紹介されています。ただし、この場合も直近の増資価格が将来期待も含めた株式の公正価値を示すとの理解のもとで、増資価格を持って時価とする手法(backsolve method)が併用されるようであり、種類株式時価の定量化の難しさが感じられます。(米国の会計実務に関する理解が浅いため、誤りあればお教え頂けると幸いです。)

なお、優先配当権についてはIPOを目指すVBは通常配当をすることは想定されていないので付与する意味は薄く、仮に付与されていたとしても時価評価上、考慮する必要はないものと思います。

以上、半分以上、自分の備忘のために記載していますがご参考まで。証券会社を退職して10年以上期間が立ちますが、肌感覚は残っていますので、これを機に最新実務のアップデートに努めて行きたいと考えています。通常の会計士・税理士よりは知見とネットワークを有していますのでVBやVCの方はお気軽にお問い合わせください。

非上場会社の株価評価方式の見直しについての私見

2016年02月05日

平成28度税制改正においては改正項目とはなりませんでしたが、経済産業省の税制改正要望で非上場会社の株式評価方法について見直しが提言されています。

アベノミクスで株価が約2倍になったことに引きずられて(今年は乱高下していますが)、非上場会社の株価(類似業種比準価額)が上がり、税負担の増大によって円滑な事業承継の妨げになるという趣旨ですが、全くの同感です。

税制改正要望では具体的な見直し項目は挙げられてはいませんでしたが、類似業種比準方式を採用していること自体の見直しをすべき時期に来ているのかもしれません。主に以下の理由によります。

①自社の業績に全く変化がないにも関わらず、株式市場の上昇のみにより、相続税が増加するのは納税者に納得感がない。特に現政権下ではアグレッシブな金融政策がとられるので株価のボラティリティが増大しており、いつ贈与するか(相続が発生するか)によって、税額が倍にもなれば半分になるといった状況が生じる。
②企業の優勝劣敗が進む中、利益や資産規模以外の要素(ブランド力やマーケットシェア)で株価が決まる傾向が強まっている。
③市場株価は企業の「連結ベースの会計上の予想利益」に基づき形成されるにも関わらず、税法は「単体ベースの税務上の過去所得」に基づき比準される。税務と会計の乖離が拡大するとともに連結決算が一般化する中では理論的な基礎を失いつつある。
④業種別に国税庁から株価が公表されますが、どの会社がサンプルとなったのか明らかにされていない。業種の入れ替えなどの影響により、年度により数値の連続性が絶たれるケースなどもある。

そもそも類似業種比準方式の存在意義は、純資産価額を超える企業のフローの収益力を評価に反映させることにあると理解しています。そうであれば、支配株主の評価方式を純資産価額に一本化しつつ、現在の営業権の評価ルールを精緻化し、優良企業については一定ののれんを乗せる方がよいのかもしれません。

一方で、純資産価額方式は、換金性のない事業用資産が高く評価されるという欠点がありますので、
DCF方式ではないですが、事業用資産は一括してフローの収益力により評価しつつ、金融資産など事業用資産以外の資産のみ別途換金価値を加算するといった考え方も合理性を有するのではないかと思います。

また、純資産価額方式について現状は賞与引当金、退職給付引当金などの引当金は確定債務でないものとして純資産から控除することが認められませんが、退職給付債務などは金額も多額になり、企業の売買などでも当然に考慮されます。労働当局に届けられた制度があり、当該制度に基づいて支給が適正にされているのであれば、期末における退職金の自己都合要支給額を減額する措置を入れるべきではと思います。

なお、上場株式の評価については現状は時価を基準に評価されますが、オーナー株主については一定のディスカウントをしてあげてもよいのではと思います。市場株価は流通している(一般的には少数の)株の取引価格であって、オーナーが当該価格で保有株を処分できるわけではありませんので。出国税の創設とのバランスで考えて頂きたいところではあります。

以上、思う所を勝手に書きましたが、株式評価については当社のお客様の多数を占める経営者の方に大きな影響がある項目ですので、議論の動向をウオッチして行きたいと思います。

宮口

平成28年度税制改正大綱の公表予定

2015年11月29日

今年ももうすぐ師走に入りますが、与党税制改正大綱が現在急ピッチで取り纏められており、12月10日公表予定とのことです。

昨年に引き続いてかなり広範囲な改正となることが見込まれており注目しています。主な改正項目は下記項目が予定されているようです。

1.法人実効税率の20%台への引下げ
2.減税の財源措置としての租特の縮小や、減価償却につき定率法の適用範囲縮小
3.減税の財源措置としての外形標準課税の増税
4.法人版ふるさと納税制度の創設
5.BEPS行動計画に基づく移転価格文書化義務の強化
6.
消費税増税時の軽減税率導入と、簡易インボイス方式、中小法人に対するみなし課税の導入

なお、縮小が懸念されています中小法人特例は今年は維持の方向のようです。

大綱が公表されましたら本ブログでも要点をご紹介する予定です。また、昨年に引き続き「旬刊経理情報(中央経済社)」誌に大綱の速報解説記事を寄稿することになりました。出版は年明け1月6日となりますが、是非ご覧頂ければと存じます。

宮口

太陽光発電事業ブーム

2015年11月28日

今週、ある太陽光発電事業者の方と面談しました。

太陽光発電事業も買取価格の引下げや税制縮小によりブーム終焉かとも言われていますが、買取価格が42円/1kWhから29円/kWhに引き下がった現在でも表面利回りが10%程度は確保できるとのことでした(例えば20百万円の投資(イメージ土地2百万円、パネル18百万円)で年間売電収入2百万円程度)。

20年間の固定価格買取りですし、経費は月1万円程度のメンテナンス料、損害保険料、固定資産税等程度とのことですので賃貸不動産の利回りが4~5%に低迷している現在においては税制メリットがなくても、検討に値する事案もあるのではと思いました。ただ、参入企業の増加による発電適地の減少や土地取得コストの増加、日照時間の変動などによる収益のボラティリティ―、設備の経年劣化による取替え・修繕費の発生など、リスクもあろうかと思いますので表面利回りのみにとらわれた投資は避けるべき点は不動産投資と同じかと思います。

なお、太陽光パネルなどの設備が即時償却できることもソーラーブームを下支えしてきましたが、グリーン税制に基づく即時償却はH27年3月末で、生産性向上設備投資促進税制による即時償却もH28年3月末をもって終了します。この点、中小企業投資促進(中促)の適用要件に該当すればH28年4月以降も即時償却が可能ですが、「電気事業」は指定業種に該当しないため、単に他社に売電するだけの場合は、要件を満たしません(発電した電気を指定業種の自社事業で活用する場合は要件満たすことも可能なようです。)。

以上、ご興味あればご相談ください。投資は自己責任でお願いいたします。

非上場企業DD(監査)の奥深さ

2015年11月23日

所長の宮口です。独立してからは非上場企業に関与する度合いがより増えましたが、最近デューデリジェンスなどで粉飾や逆粉飾を発見することが非常に多いです。黒字の企業は税金をセーブするために逆粉飾を、赤字の企業は対銀行や業法の縛りから業績をよく見せるために粉飾をするわけですが、いろいろな手法があり、非常に勉強になります。

粉飾については、減価償却を止める、在庫の払出しを止めるなどのよくある手法から、取引先協力の下、請求書を発行し、売上を上げてから翌期に取り消す、社長が会社への貸付金を免除して売上に混在させるなどの手法がありました。

よくある利益操作手法であるセールスアンドリースバック取引でも、売買処理により利益のかさ上げを狙う一方で、リース会社の協力の下、金融処理にして消費税の非課税取引とする手法も併用するなど、会計の見え方、税金、キャッシュ・フローを総合的に考えていろいろ工夫されている事例にもあたりました。

逆粉飾についても、決算期の異なる取引先に請求書を発行してもらい経費を作った上で、翌期に逆に仕事を受けたことにして売上を作るといった手法がありました。

私はもともと上場企業監査からキャリアをスタートさせましたが、他の会計士同様に、規模が大きすぎて全体像が把握できない、既に監査が入っていて指摘事項が特にない、優秀な経理マンが作成した資料を後追いでなめるような作業といった理由で、やりがいを感じられなかった部分がありました。その点、中小企業は、外部の目が行き届かないことからいろいろな操作が行われていることが多く、監査スキルを磨くうえでも恰好の教材であると思います。

当時は社会人経験もないまま財閥系の巨大企業の会計監査をしていたので、見るべきものが全く見えていませんでしたが、約20年の実務経験により、いろいろな事例を見た結果、嗅覚が発達し、最近はより、ポイントを突いた監査ができるようになったと感じています。また独立したことにより、経営者の肌感覚が少しは分かるようになった気がします。(数百人の雇用を預かる責任や億単位の連帯保証を背負う気持ちまでは想像できませんが。)

いま改めて考えるに事業会社経験者が監査を行った方が何倍も、効果的な監査ができると思いますので、より、事業会社と監査法人の人事交流が進めばよいと思っています。監査法人勤務の方も、公開準備業務など、より、会社(社長や担当者)の立場に立って仕事ができるプロジェクトに関与することが、上場企業監査のクオリティーを上げることにもつながると考えています。

散文失礼いたしました。

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