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令和4年度税制改正大綱

2021年12月23日

12月10日に与党から令和4年度税制改正大綱が公表されています。予想に反してM&Aや資本政策絡みでも多数改正が入っています。主な項目は以下のとおりです。

1.完全子法人株式等に係る配当源泉税の廃止(会計検査院の指摘に対する対応。2023年5月10日以後の配当から改正)

2.資本の払戻しに係るみなし配当計算方法の変更(混合配当に係る最高裁判決を受けた対応)

3.いわゆるソフトバンク税制の適用緩和(経済界の要望を受けた改正。2020年4月1日以後の配当について遡及して改正)

4.グループ通算制度における投資簿価修正の改正(経済界の要望を受けた改正)

特に上記4について買収プレミアムが譲渡時に損金算入できないという不合理が制度適用開始前に是正された点は非常に歓迎すべき改正です。

詳細については年明け発売の「旬刊経理情報(中央経済社)」に寄稿しますので是非ご覧頂ければと存じます。

宮口徹

中小企業M&A準備金に係る要件公表

2021年08月11日

以前も本ブログで紹介しましたが、今年度の税制改正で以下の通り中小企業のM&Aに係る準備金制度が創設されています。

 令和3年度税制改正大綱(一部抜粋)

青色申告書を提出する中小企業者(中略)のう中小企業等経営強化法の改正法の施行日から令和6年3月31日までの間に同法の経営力向上計画(経営資源集中化措置(仮称)が記載されたものに限る。)の認定を受けたものが、その認定に係る経営力向上計画に従って他の法人の株式等の取得(購入による取得に限る。)をし、かつ、これをその取得の日を含む事業年度終了の日まで引き続き有している場合(その株式等の取得価額が10億円を超える場合を除く。)において、その株式等の価格の低落に備えるため、その株式等の取得価額の70%以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てた時は、その積み立てた金額は、その事業年度において損金算入できることとする。

 株式の取得原価については原則として売却するまで損金算入できないのが原則的な税務の取扱いですが、上記の準備金制度を用いれば取得金額の70%を損金算入できるという画期的な制度です。ただし、永久的な減税ではなく取得した株式を売却や清算等で保有しなくなった場合には準備金を取崩して益金算入します。また、売却等しない場合でも株式を取得した事業年度から5年経過した事業年度から1/5ずつ取崩して益金算入されますのであくまで課税の繰延べという位置づけです。 

本制度については制度の詳細の公表が待たれていましたが、8月2日に中小企業庁のサイト(下記URL)にて、制度の詳細や各種書式のフォーマットが公表されています。

 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/shigenshuyaku_zeisei.html

 以下サイト中の資料に基づき手続きの流れや適用要件をご紹介します。

 1.手続きの流れ

 (1) M&Aの相手方が決まったタイミング(基本合意後等)で、経営力向上の内容に株式取得を含み、かつ事業承継等事前調査の内容を記載した経営力向上計画を策定し、主務大臣の認定を受ける

 (2) 認定計画の内容に従って株式取得を実行した後、主務大臣に対して事業承継等を実施したこと及び事業承継等事前調査(DD)の内容について報告し、確認書の交付を受ける

 (3) 税法上の要件を満たす場合には、税務申告において準備金積立額について損金算入。税務申告に際しては、認定書と確認書(いずれも写し)を添付する

 (4) 事業承継等事前調査の内容を記載し、準備金積立またはD類型を活用した場合、計画期間(3年~5年)の間の毎事業年度終了後、事業の状況等に係る報告書を認定を受けた主務大臣に提出する必要がある

  右表中④の経産局の確認書発行と⑤の主務大臣の計画認定にそれぞれ1ヵ月程度要するとされています。計画認定後に⑦の設備(株式)取得を行うことが原則となるので余裕を持って申請するよう案内されていますが、どうころぶかわからない交渉事であるM&Aと申請手続きを並行して進めることは容易ではないとも思います。

 2.経営力向上計画(D類型)の要件

 本準備金制度の創設に合わせて経営力向上計画にD類型が新設されています。まず、D類型の適用については法務と財務のデューディリジェンス(DD)の実施がマストであり、計画認定時とM&A報告時に実施したDDについての報告が必要となります。

DDは弁護士、公認会計士、税理士等の専門家が行うことが基本となり、専門家以外が行う場合はDD報告書の提出が必要になるなど、より詳細を確認されることになります。

また、D類型については計画終了年次に以下の数値基準のいずれかを満たすことが前提となります。実際に目標値を達成できなかった場合でも認定は取り消されませんが、計画通りの事業遂行を行わなかった場合には取り消しの対象となります。

計画期間3年:有形固定資産回転率の増加率+2% OR 修正ROAの増加率+0.3%
計画期間4年:有形固定資産回転率の増加率+2.5% OR 修正ROAの増加率+0.4%
計画期間5年:有形固定資産回転率の増加率+3% OR 修正ROAの増加率+0.5%

(注)有形固定資産回転率=売上高÷有形固定資産
   修正ROA=(営業利益+減価償却費+研究開発費)÷総資産

以上、簡単ですが中小企業のM&A準備金制度についての詳細公表についてご紹介しました。課税の繰延べ措置ではありますが資金繰りに対する効果が大きいためM&Aアドバイザーとしては実際に申請するかはともかくとして、適用可能性につき検討すべきと考えています。

宮口徹

経営力向上計画(D類型)の申請プロセス

キャリード・インタレストに係る税制改正(令和3年度税制改正)

2021年04月27日

 令和3年度税制改正では国際金融都市化に向けた税制上の措置として以下の改正が行われました。

 国際金融ハブ取引に係る税制措置〔金融庁主担、経済産業省が共同要望〕

わが国の国際金融センターとしての地位の確立に向けて、海外から事業者や人材、資金を呼び込む観点から、諸課題の解決を図る一環として、以下の税制上の措置を講ずる。

①法人課税
投資運用業を主業とする非上場の非同族会社等の役員に対する業績連動給与については、投資家等のステークホルダーの監視下に置かれているという特殊性に鑑み、その算定方式や算定の根拠となる業績等を金融庁ホームページ等に公表すること等を要件として、損金算入を可能とする。
②資産課税
高度外国人材の日本での就労等を促進する観点から、就労等のために日本に居住する外国人に係る相続等については、その居住期間にかかわらず、国外に居住する外国人や日本に短期的に滞在する外国人が相続人等として取得する国外財産を相続税等の課税対象としないこととする。
③個人所得課税
ファンドマネージャーが、出資持分を有するファンド(株式譲渡等を事業内容とする組合)からその出資割合を超えて受け取る組合利益の分配(キャリード・インタレスト)について、分配割合が経済的合理性を有するなど一定の場合には、役務提供の対価として総合課税の対象となるのではなく、株式譲渡益等として分離課税の対象となることの明確化等を行う。その際、ファンドマネージャーによる申告の利便性・適正性を確保するため、金融庁において所要の対応を講ずる。

上記③のキャリード・インタレストについては、2021年4月1日付で金融庁から国税庁への照会文書という形で取り扱いが公表されています(金融庁サイト参照)。またファンドマネージャーによる申告の利便性・適正性の確保については、確定申告書の添付書類として利用可能なチェックシートや所得の計算書が今後公表される予定です。

 従来は投資組合から個人のGPが成功報酬を受け取った場合、役務提供の対価として事業所得扱い(最高税率約55%の総合課税)となるのかGPとしての利益分配になるのか(株式の譲渡所得であれば最高税率約20%の分離課税)が不明確であり、係争化した案件もあると記憶していますが、今後は照会文書に記載されたような事例では分離課税が明確となりました。

 本件については消費税の取扱いにも影響を与えます。キャリーを役務提供の対価と考えれば課税取引になりますし、株式譲渡収入の出資者へのパススルー分配と考えれば消費税は非課税となります。

 通常では利益の20%をGPがキャリーとして受取り残額のをGP及びLPでプロラタ分配するケースが一般的ですが、キャリーの消費税が課税になるとその分、LPへの分配額が減少します。一方で支払った消費税もパススルーで各LPに分配されていきますので、各LPが当該消費税を全額控除できればキャッシュフロー的に中立になりますが、有価証券譲渡に対応する報酬となりますので個別対応方式を前提とする場合、控除が取れない方が一般的かと思います。よってLPの立場からは消費税の観点ではパススルー分配が有利になると整理されます。

 一方でGP(法人・個人とも)の場合、キャリーに消費税が課されても課されなくても収入額に変化はありませんが(消費税は預かるだけで税務署に納付する必要があるため)、非課税売上と取り扱うと収入の5%が課税売上割合の計算において非課税売上カウントされ、GPが支払う消費税の控除にネガティブな影響が生じるリスクがあります。GPにおいて多額の課税仕入れが生じるようなケース(例えばGPが導管的な存在でキャリーの大半を業務委託料等で他者に流す場合)では留意が必要です。

 例えばGPにおける収入がキャリー10億円のみ、内8億円(税抜)を業務委託料で第三者に支払うケースを想定します。キャリーが業務委託料として課税売上となれば消費税込みで11億円収入、費用も消費税込みで8.8億円支払となり、収支は2.2億円となります。ここから消費税の納付が0.2億円(1億円-0.8億円)生じますのでトータルの利益は2億円、法人実効税率を30%とすれば税引後の手残りは1.4億円となります。

 一方で、キャリーを有価証券非課税譲渡と考えると、キャリー収入10億円、費用は消費税込みで8.8億円、収支は1.2億円となりますが、消費税については全額非課税売上なのでそれに対応する費用の消費税0.8億円の控除が取れず、トータルの利益は1.2億円、実効税率を30%とすれば税引後の手残りは0.84億円と、キャリーを課税扱いした場合よりも0.56億円も不利になってしまいます。

 今回照会文書はあくまで個人のパートナーに対する所得税の課税関係の明確化を目的としたものであり、消費税については触れられていませんが、上記のような整理になると理解しています。ご参考まで。

宮口徹

金融庁資料(クリックで拡大)

令和3年度税制改正大綱(外国子会社からの配当に係る源泉税の取扱い)

2020年12月18日

 令和3年度税制大綱では、外国子会社からの配当に係る源泉税について以下の改正項目が記載されています。

内国法人が外国子会社から受ける配当の額に係る外国源泉税等の額の取扱いについて、次の見直しを行う。

①外国子会社から受ける配当等の額(外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける部分の金額に限る。)に係る外国源泉税等の額の損金算入について、その配当等の額のうち内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)との二重課税調整の対象とされる金額に対応する部分に限ることとする(現行:全額損金算入)

②外国子会社から受ける配当等の額(外国子会社配当益金不算入制度の適用を受けない部分の金額に限る。)に係る外国源泉税等の額の外国税額控除について、その配当等の額のうち外国子会社合算税制との二重課税調整の対象とされない金額に対応する部分につきその適用を認めることとする(現行:全額不適用)

 上記太字部分が大綱原文ですが、現行税制では益金不算入となる外国子会社からの配当金については外国源泉税額について損金算入も税額控除も認められないため、大綱の記載が誤っているのでは??などとも思いましたが、外国子会社合算税制(CFC税制、タックスヘイブン税制)が適用される配当についてのみの取扱いと整理しています。以下に大綱の取扱いを図示しますが、当職の現状の理解ですので誤りがあればご容赦ください。

以上、非常にテクニカルな論点で興味ある方は限られるかと思いますが、ご参考まで。

宮口徹

令和3年度税制改正大綱(M&Aに係る税制改正)

2020年12月12日

 12月10日に与党税制改正が公表されました。事前の報道通り、M&Aに関する2つの改正も行われることが実質的に確定しましたのでその内容をご紹介するとともに当事務所が注力するミドルマーケットのM&Aに対する影響など考えるところを記載します。なお、大綱本文は与党のサイトをご参照ください。

 1. 自社株対価M&Aの課税繰延べ

【大綱原文(下線部は筆者加筆)】
 法人が、会社法の株式交付により、その有する株式を譲渡し、株式交付親会社の株式等の交付を受けた場合には、その譲渡した株式の譲渡損益の計上を繰り延べることとする(所得税についても同様とする。)。
(注1)対価として交付を受けた資産の価額(時価。以下同様)の株式交付親会社の株式の価額が80%以上である場合に限ることとし、株式交付親会社の株式以外の資産の交付を受けた場合には株式交付親会社の株式に対応する部分の譲渡損益の計上を繰り延べる。

 上記が大綱原文ですが、会社法で創設された「株式交付」に応じた株主(法人・個人とも)の譲渡損益が繰延べられます。株式交付とは株式会社が他の株式会社を子会社とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付することですが、現行の「株式交換」が対象会社の全株式を強制的に取得する手法であるのに対し、「株式交付」は子会社化しさえすれば部分的、任意的なM&Aにも使える点が特徴となります。また、対価の一部を現金等とすることも可能です(いわゆる混合対価)。

  例えば上場企業P社がオーナー70%支配の非上場企業T社を株式交付を用いて買収する場合、「対価の全てをP社株でT社オーナーに払う場合はT社オーナーの譲渡益は全額繰延べ(T社株式の簿価がP社株式に付け変わる)」、「対価の20%を現金にした場合は、譲渡益の20%部分は課税、80%部分は課税繰延べ」、「対価の30%を現金にした場合は、譲渡益の全額が課税」といった整理になります(下図参照)。

 基本的には上場企業が比較的規模の大きな企業(上場、非上場とも)を買収する際に利用することを想定した制度ですので中小企業のM&Aに多用されるとは思いませんが、制度上は非上場企業同士のM&Aでも適用は認められます。個人的にはM&Aの前さばきの資本関係の整理などへの活用ができるのではと期待しています。

 なお、現在でも「産業競争力強化法」の認定企業に限定して課税繰延べが特例で認められていますが、事前認定が必要なことやその手続きが煩雑であることから、ほとんど利用されていませんでした。今般の改正は事前認定を不要とした恒久措置となっている点がポイントです。

2. 中小企業のM&A時の法人税軽減制度

【大綱原文(一部筆者加工)】 
 青色申告書を提出する中小企業者(中略)のう中小企業等経営強化法の改正法の施行日から令和6年3月31日までの間に同法の経営力向上計画(経営資源集中化措置(仮称)が記載されたものに限る。)の認定を受けたものが、その認定に係る経営力向上計画に従って他の法人の株式等の取得(購入による取得に限る。)をし、かつ、これをその取得の日を含む事業年度終了の日まで引き続き有している場合(その株式等の取得価額が10億円を超える場合を除く。)において、その株式等の価格の低落に備えるため、その株式等の取得価額の70%以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てた時は、その積み立てた金額は、その事業年度において損金算入できることとする。 

 こちらも上記が大綱原文(一部加工)ですが、記載のとおりで、中小企業が取得金額10憶円以下など一定の要件を満たすM&Aをした場合に準備金を積み立てることで取得価額の70%の損金算入が認められることになります。準備金についてなじみがない方もいらっしゃると思いますが、ざっくり言えば株式につき評価減なり引当金を積むイメージです。この準備金は取得した株式を売却や清算等で保有しなくなった場合等に取崩して益金算入します。また、株式を取得した事業年度から5年経過した事業年度から1/5ずつ取崩して益金算入します。

 この点、あくまで課税の繰延べ措置ですので、M&Aのアドバイザーであれば常識の「事業譲受はのれん損金算入。株式取得は損金算入不可」の原則が崩れるわけではありません。

  本制度は中小企業の統合・再編による生産性向上を図るための特例となりますが、M&Aによる成長計画につき国の承認が求められるところ、具体的にどのような要件が求められるかが今後の注目点となります。また、上記1でも述べたとおり、国の承認プロセスは重くなりがちですので、刻一刻と状況が変化し、スピードが求められるM&Aとの相性はあまりよいとは考えていませんが、取得当初の70%の損金算入は買手にとってはメリットが大きいのでフォローしていきたいと思います。

 以上、来年度の税制改正で行われることが実質的に確定したM&Aに関連する税制改正項目をご紹介させて頂きました。制度の詳細は2月以降に公表される改正法案や3月以降に公表される政省令に委ねられることになりますので本ブログでも必要に応じて情報提供させて頂こうと思います。また、令和3年度税制改正の詳細については、年明けに発売される「旬刊経理情報」や「税経通信」等の専門誌にも寄稿予定ですので合わせてご覧いただけると幸いです。

宮口徹

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