宮口公認会計士・税理士事務所

代表コラム

COLUMN

令和3年度税制改正大綱

税務
2020.11.28

気が付けが今年も師走が近づいています。12月と言えば我が税理士業界は税制改正大綱で盛り上がりますが、新聞報道によればM&Aに関連する改正が行われる可能性があるようです。

1. 中小企業のM&A時の法人税軽減

現政権が指向する中小企業の統合・再編による生産性向上を図るため、中小企業がM&Aで他社の株式を取得した場合、株式の取得金額の一部を損金算入させることを検討しているとのことです。技術的には現行でも海外投資などに認められる「準備金」制度の拡充で対応するようです。

取得企業はM&Aによる成長計画を国に提出、国は買収先の雇用や技術の維持、生産性向上の可能性などの観点から査定を行い、承認を受けた企業に税優遇を行う仕組みが想定されているとのことです。

昨年の税制改正では経産省がM&Aの売却主の課税を軽減するアプローチで改正要望を出したものの実現には至りませんでした。財務省がどう判断するか分かりませんが、個人的には昨年の要望よりは筋は良く、実現可能性はあるものと思っています。

改正が行われる場合、対象となるM&Aの条件(取得者、対象企業それぞれ)や取得価額の何%の損金算入を認めるのかなどが論点となってきます。財務省としては租税回避を防止するために厳しい縛りを掛けがちですが、制度を導入するのであれば使い勝手のよいバランスの取れた制度にして頂きたいところです。

2.自社株対価M&Aの課税繰延べ

会社法の改正により自社株を対価とするM&Aについて新たに「株式交付制度」が創設され、来年春から施行予定となったことに対応して、株主課税の繰延べ措置の導入が経済産業省から要望されています。

現行法では、例えばトヨタが非上場企業を買収するに際して、トヨタ株を交付した場合、株式交換等の100%強制買収でない限り、株式を売却する株主(法人・個人とも)に譲渡益課税が生じるわけですが、TOBなど任意の売却手続きについても課税繰延べが認められれば非上場株の簿価をそのままトヨタ株に付け替えることが可能になります。

このテーマについては従来から検討されており、2018年度改正において「産業競争力強化法」の認定企業に限定して課税繰延べが認められましたが、事前認定が必要なことやその手続きが煩雑であることから、ほとんど利用されていませんでした。今般の改正要望では、事前認定を不要とした恒久措置が要望されていますが、従来、改正に否定的であった財務省がどこまで歩み寄ってくれるかがポイントとなります。

主に上場企業が他社を買収する際に利用が期待される制度となりますが、上場企業による中小非上場企業のM&Aも活発になる昨今、本改正が通れば、中小企業のM&Aのスキームに幅が出てくることが期待できます。対価について株式と現金のミックスが認められるのか分かりませんが、仮に認められる場合、上記の例で言えば、「株の半分は現金で売却(課税)、残りの半分はトヨタ株で貰って(非課税)、今後の株価上昇に期待」といったストラクチャーも可能となってきます。

以上、来年度の税制改正で見込まれるM&Aに関連する税制改正項目をご紹介させて頂きましたが、確定したものではないためご留意ください。12月10日頃のリリースが予定されているようですので大綱の公表を楽しみに待ちたいと思います。

宮口徹

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