COLUMN
前回に引き続き、令和8年度税制改正大綱から富裕層に関連する項目を4点ピックアップし解説します。
1.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について特例承継計画の提出期限が1年6ヵ月延長され、2027年9月末までとなります。
こちらは当職はあまり好きな制度ではないのでコメント省略します。
2.下記貸付用不動産の贈与・相続時の評価について、相続税評価額ではなく通常の取引価額(時価)で評価されることになります。2027年1月以後に相続等で取得した場合に適用されますが、①については、本制度の通達公表日までに被相続人等がその所有する土地(5年超保有に限る)に新築した家屋は対象外となります。
①被相続人が課税時期前5年以内に有償で取得した貸付用不動産
②小口化賃貸用不動産(不動産特定共同事業契約や信託受益権に係る金融商品取引契約に基づく貸付用不動産の内一定のもの)
賃貸マンション(貸家+貸家建付地)の相続税評価額は時価よりも大幅に低い額で評価されるため、高齢者が相続税対策で賃貸マンションを購入するケースが多くあり、税務調査で係争化する事案も散見されていましたが、今般の改正で制度的に歯止めがかけられることになります。②は不動産の取得時期に関わらず時価評価になってしまうということで、小口化不動産販売業者にとっては大変な痛手と思います。
なお、法人が保有する不動産については従来から課税時期前3年以内に取得したものは時価にて評価するルールになっていますので補足まで。
3.暗号資産(仮装通貨)の譲渡所得について20%の分離課税が導入されます。
実務界からの要望に応えたものですが、全ての暗号資産が分離課税になるのではなく、金融商品取引業者登録簿に登録されているものに限定された措置ですのでご注意下さい。また、総合課税となる暗号資産の譲渡所得については特別控除が認められなくなるなど逆に課税が強化されます。
4.ふるさと納税(自治体への寄付)に係る税額控除額について、2027年分の寄付から上限が設けられます。
年収1億円以上の場合に制限が効いてくる設計となり、住民税の特例控除額の上限が193万円とされます。これにより控除を受けられる寄付額の上限は約438万円となります。
ふるさと納税に関連する話として、返礼品について一時所得としての納税を求められるケースが増加しています。一時所得は50万円の控除額があるため、寄付額の30%の価値の返礼品を前提とした場合、166万円以上の寄付をすると一時所得が生じることになります。多額の寄付を行う場合はご留意ください。
宮口徹
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