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宮口公認会計士・税理士事務所 【電話番号】03-4588-6375 【住所】 東京都中央区日本橋1-2-10東洋ビル6階

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【税制改正大綱速報①】令和2年度税制改正大綱が公表されました

2019年12月13日

政府与党より令和2年度税制改正大綱が公表されました。

1.法人課税

連結納税制度のグループ通算制度への移行が一番の目玉です。基本的には制度の使い勝手を上げる改正ですが局地的には不利になる項目も出ることが想定されます。

その他ではオープンイノベーション目的のベンチャー投資について投資額の25%の損金算入が認められる点が大きい改正になります。
租税回避に悪用される懸念がありますので法令や政省令でどのような限定がかけられるかが今後の着目点と思います。

M&Aについてはソフトバンクグループの節税策を契機とした配当後の株式譲渡による節税防止規定が導入される一方、株式対価M&Aに係る株主課税の繰延べ措置は導入が見送られました。

法人課税の詳細については年明け発行の旬刊経理情報に解説記事を寄稿しますので興味のある方はご覧いただけると幸いです。

2.個人課税(富裕層関連)

経産省が導入を要望していたM&A版事業承継税制は導入が見送られました。継続検討されるようですが個人的には導入はかなりハードルが高いと思っています。

国外中古建物の不動産所得が赤字になった場合、減価償却費はなかったものとされます。アメリカの中古不動産投資による節税策を規制する改正です。

居住用賃貸建物の居住部分については仕入税額控除が一切認められなくなります。マンション建設に伴う消費税の還付問題は納税者と税務当局のいたちごっこが続いていましたが、自販機スキームに代わり一部ではやっていた金取引スキームも封じ込められることになりました。

以上、速報まで。

宮口

保険税務の大改正

2019年07月12日

2019年6月28日に法人税基本通達が改正され、法人保険についての税制が変更されました。40年ぶりの大改正とのことです。

解約返戻金のある保険については2019年7月8日以降の新規契約分から適用となります。
通達公表即施行ですし、春先は保険会社が節税保険の販売を自粛していたようですのでる駆け込み購入も難しかったようです。なお、既存の契約は影響はありません。

改正の要点は以下の通りです。
①従来、商品別に決められていた損金算入の扱いを一本化:対象は長期平準定期保険や逓増定期保険などの定期保険や第三分野保険など
②最高解約返戻率が50%以下の商品については保険料は全額損金算入
③最高解約返戻率(85%超)の商品については最高返戻率となるまでの期間(最低5年)について以下の金額を資産計上
(例えば解約返戻率90%の保険の場合、当初10年間は保険料の81%が資産計上されるため19%しか損金計上できないことになります。)

 当初10年間:支払保険料 ✖ 最高解約返戻率 ✖ 0.9
 11年以降:支払保険料 ✖ 最高解約返戻率 ✖ 0.7 

上記改正により、従来のような高返戻率かつ高率損金算入という役員保険はなくなりました。今後、各社から新通達をベースとした商品が販売されることになるとは思いますが(例えば確定の返戻率は低めに抑えつつ、運用益を追加還元する保険など)、実質ノーリスクで課税が繰り延べられる商品の開発は中々難しいのではと考えています。

既存契約は対象外とされたのが救いですが、既存契約の解約時の出口戦略につき他の保険への乗り換えができなくなってしまったのが悩ましいところです。

代替案ですが、養老保険によるハーフタックスプランは今般の通達改正の対象とはならなかったので今後も適用可能ですが、原則は全従業員を対象とした福利厚生とする必要があるので役員など特定者のみ対象とした取り扱いは役員賞与認定されるリスクがあります。

もしくは資金が寝る分、保険よりは使い勝手が悪いですが、オペレーティングリースなども商品によっては保険よりも早期償却できるので検討の対象に加えてもよいかもしれません。

今後の保険会社の動向もウオッチしていきたいと思います。

太陽光・バイオマス発電事業と税務論点

2019年04月13日

最近太陽光発電やバイオマス発電の財務モデル検証の依頼をよく受けます。発電事業は電力会社のへの売電価格が決まっているため損益計画が立てやすいことから、融資やリース契約にあたって精緻な事業計画(キャッシュフロー計画)の作成が求められるケースが多いです。事業計画においては税金が重要な考慮点となりますが、発電事業については特有の論点が多々あります。

以下、備忘のため税務上の論点を整理しますのでこうした業務に関与される方のご参考まで。不完全な情報もあり記載内容につき責任は負いませんのであしからず。

1.全体ストラクチャー
①事業主体による直接運営の他、倒産隔離を目的としてTK-GKスキーム(一般社団(SH)が合同会社(GK)を設立、実際の運営資金は投資家が匿名組合(TK)出資で入れて利益を吸い上げる)を用いることも多い
②発電設備の購入資金は借入、割賦、リースにて調達することが考えられる
③種々の目的でリースバック、割賦バックを行う場合があるがその際はリース会計及びリース税務の取扱いを検討する必要がある

2.法人税
①従来、グリーン投資減税による発電設備の即時償却制度があったが現在は原則終了
②太陽光発電設備の耐用年数は全量売電で17年、自家消費の場合は事業内容により変動
③電力会社に支払う連携工事負担金は繰延資産として15年償却(国税庁質疑応答事例あり)
④FITの権利を外部から取得した場合、繰延資産に該当すると整理して発電期間に渡り償却(営業権の取得として5年償却もあるか?)

3.事業税
①電気供給業(電力会社が行う電気供給業の他、太陽光・風力・地熱・水力・バイオマスなどを利用した再生可能エネルギー売電事業)に係る法人事業税は,収入金(売上)に対して1.3%課税
②事業税は損金算入でありプロジェクション策定上は他の経費と同様に考えればよい

4.消費税
①設備取得につき多額の仮払消費税が計上されるため、還付を受けるために課税ステータスに留意
②TK-GKスキームでGKの利益をゼロにしても、匿名組合分配金は消費税不課税でり、消費税負担は生じる可能性が高いため資金繰りに留意

5.固定資産・償却資産税
①土地建物は固定資産が固定資産税評価額の1.4%課税。建物の償却ロジック(再取得価格×経年減価率。残存簿価20%)は法人税と異なるため留意
②農地を転用して発電事業を行う場合、地目が雑種地に変更されて固定資産税が増加。この点、ソーラーシェアリング(農業と発電事業の兼営)であれば支柱部分の一時転用であり税負担はあまりかわらない。
③設備は償却資産税の対象。法人税とは異なり旧定率法による償却後簿価の1.4%課税。また圧縮記帳や即時償却の取り扱いも異なるため留意

6.源泉所得税
①匿名組合分配金は20.42%の源泉徴収必要。分配金の支払日の翌月10日に納付

「平成31年度税制改正大綱」が公表されました

2018年12月17日

12月14日に与党より2019年度税制改正大綱が公表されました。

主だったトピックは以下のとおりですが、上場大企業にとってはBEPSプロジェクトに伴なう国際税務周りの改正が影響度大だと思います。無形資産評価におけるDCF法導入と事後的な遡及否認措置などはかなりインパクトが大きく税務担当部署の役割はさらに重要になってくることが想定されます。

(法人課税)
・ベンチャー企業を対象とした研究開発税制の拡充
・業績連動給与の要件緩和
・仮想通貨に時価法導入
・連続再編の適格要件や対価要件の緩和によりM&Aスキームに係る選択肢が増加
・BEPSプロジェクトに沿った過大支払利子税制や移転価格税制の改正により課税強化の方向に
・トランプ減税に係るタックスヘイブン税制対応

 (個人課税)
・消費税増税に伴なう需要減緩和策(住宅ローン控除の拡充、自動車取得税の廃止など)
・個人事業主に係る事業承継支援措置

法人課税についての改正概要については、年明け1月8日発売の「旬刊経理情報(中央経済社)」に寄稿しますのでご参照頂けますと幸いです。

年収と手取り額に関する雑感

2018年04月19日

近年、所得税の増税や社会保険料率の値上げが継続していますが、2018年時点の給与所得者の税金・社保控除後の手取り額を概算してみました(添付参照)。

ご案内の通り、所得税(住民税含む)は15%~55%の累進課税で上限なく課税されますし、給与所得控除も220万円が上限ですので年収が上がるにつれて当然に負担額が上がります。

一方で社会保険料については所得に対して一定率であり、所得が一定水準を超えると保険料は頭打ちになりますので、社会保険料と税金の両方の影響が加味されて手取り額が決まってきます。

表を眺めますと、年収が比較的低い層でも社保の負担が重いため20%超の負担率となっています。こうした社保の負担を嫌い、フリーターを選択したり、あえて社会保険に加入しない方も存在します。

また、年収1,200万円の方を基準に限界税率(所得の増加分に対する追加税金の比率)も記載しましたが、給与が増加した場合、累進課税により従来の税負担率以上の税率で課税されますので手取りは思ったより増加しないことが読み取れます。最近、正社員でも出世や給与よりもプライベートを優先する傾向が見られると言われますが、中間所得層の負担増はこうした傾向に拍車をかける一因となっているのかもしれません。頑張って給与が多少増えても税金や社保が上がってさほど手取りが増えないのであればむしろ平社員でいた方が気楽でよい的な発想が蔓延するのは経済全体にとって非常に問題と考えています。

通常、私達は年収いくらなどど給与額面のみにこだわりがちですが(源泉徴収と言う天引きにより各種控除に意識が向かないような制度を作り上げた政府の手腕は見事というほかありません。)、副業なども認められるようになってきた環境下、各種負担や手取り額に着目し、収支を設計する発想ができる方とそうでない方で、長期的な財産形成に差が生じます。残念ながら政府も取りやすいところから取りますので、タックスリテラシーを含めたマネーリテラシーを高めたいところです。

給与所得と税金・社保控除後手取り額

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