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宮口公認会計士・税理士事務所 【電話番号】03-4588-6375 【住所】 東京都中央区日本橋1-2-10東洋ビル6階

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103万円と130万円の壁(For個人事業主)

2016年09月18日

個人事業主の節税の王道として奥さんに給与を支払う青色専従者控除の制度があります。当然に給与をもらう奥さんは所得税が課税されるわけですが、事業主よりも適用税率が低いため、奥さんに所得をシフトすることで夫婦全体で見ると節税となる理屈です。

ここで奥さんの年収を103万円未満にすると給与所得控除65万円と基礎控除38万円が差し引かれて奥さんの所得がゼロになり課税されないのはパートの103万円の壁としてよく知られていますが、住民税は基礎控除が35万円なので年収が100万円を超えると課税が生じることを最近知りました。どうして基礎控除について差異が生じるのか税金のマニアックなところです。

また、社会保険については年収が130万円を超えるとご主人の扶養を外れるため、国民年金や健康保険への加入義務が生じます。節税の観点からは奥さんへの給与は多額の方がよいのですが、この扶養を外れるという点に心理的抵抗が大きく130万円の範囲で給与を支払うケースも多い気がします。

当方会計士あがりの税理士のため社会保険の分野はあまり知見がないのですが、個人のお客様を相手にする場合、税務と社保の両面を考慮したアドバイスが求められると感じており、意識的に学習するようにしています。個人事務所で給与計算の経験を積んだ税理士の方であれば何を今更という論点だと思いますが、大法人の税務に特化していた私としては非常に興味深く、今後ノウハウを貯めていこうと思っています。

宮口

個人型確定拠出年金(DC)による資産運用と節税(For個人事業主)

2016年07月01日

個人事業主による節税策として有名なものに小規模企業共済がありますが、最近では個人型確定拠出年金(DC)が普及して来ているようです。以下、個人事業主向けに絞って簡単に概要を記載します。

1.加入対象者:20歳以上60歳未満の自営業者
2.掛金:月額5,000円から上限68,000円(国民年金基金の掛金や国民年金の付加保険料と合算ベース)→全額所得控除
3.運用:預金/債券/株式/投信/不動産(REIT)などから各自が選択→運用益は非課税
4.給付:60歳になると老齢給付金が受領可能→一時金の場合は退職所得控除、年金の場合は公的年金等控除

①掛金所得控除、②運用益非課税、③給付金各種所得控除の3つの税務メリットにより、運用益が生じなくても個人事業主には節税メリットが生じることになり、現行の税制を前提とすれば、資産運用手法として大変に有用と思います。

小規模企業共済との併用も可能ですので、小規模共済の掛金限度額(年額84万円)とあわせると最高で165.6万円の所得控除が可能となり、最高税率(55%)ベースで約91万円の節税になるわけです。投資優遇制度としてはNISAがありますが、節税効果だけで見れば個人型DCに軍配が上がります。

現在、多数の銀行や証券会社が申込みを受け付けていますが、投資可能な商品のラインナップや手数料の多寡で購入先を決めればよいかと思います。

以上、よいことばかり書きましたが、留意点としては小規模企業共済のような契約者貸付けの制度がないことや、60歳になるまで引き出せないことが挙げられます。簡単に引き出せては老後に向けた貯蓄が出来なくなるということもありますので一概にデメリットとは言えないのかもしれませんが。後は当たり前ですが、元本確保以外の商品に投資した場合に投資により損失が生じる可能性があるという点です。

興味があれば各種金融機関を紹介することも可能ですのでご相談ください。

宮口

非上場会社の株価評価方式の見直しについての私見

2016年02月05日

平成28度税制改正においては改正項目とはなりませんでしたが、経済産業省の税制改正要望で非上場会社の株式評価方法について見直しが提言されています。

アベノミクスで株価が約2倍になったことに引きずられて(今年は乱高下していますが)、非上場会社の株価(類似業種比準価額)が上がり、税負担の増大によって円滑な事業承継の妨げになるという趣旨ですが、全くの同感です。

税制改正要望では具体的な見直し項目は挙げられてはいませんでしたが、類似業種比準方式を採用していること自体の見直しをすべき時期に来ているのかもしれません。主に以下の理由によります。

①自社の業績に全く変化がないにも関わらず、株式市場の上昇のみにより、相続税が増加するのは納税者に納得感がない。特に現政権下ではアグレッシブな金融政策がとられるので株価のボラティリティが増大しており、いつ贈与するか(相続が発生するか)によって、税額が倍にもなれば半分になるといった状況が生じる。
②企業の優勝劣敗が進む中、利益や資産規模以外の要素(ブランド力やマーケットシェア)で株価が決まる傾向が強まっている。
③市場株価は企業の「連結ベースの会計上の予想利益」に基づき形成されるにも関わらず、税法は「単体ベースの税務上の過去所得」に基づき比準される。税務と会計の乖離が拡大するとともに連結決算が一般化する中では理論的な基礎を失いつつある。
④業種別に国税庁から株価が公表されますが、どの会社がサンプルとなったのか明らかにされていない。業種の入れ替えなどの影響により、年度により数値の連続性が絶たれるケースなどもある。

そもそも類似業種比準方式の存在意義は、純資産価額を超える企業のフローの収益力を評価に反映させることにあると理解しています。そうであれば、支配株主の評価方式を純資産価額に一本化しつつ、現在の営業権の評価ルールを精緻化し、優良企業については一定ののれんを乗せる方がよいのかもしれません。

一方で、純資産価額方式は、換金性のない事業用資産が高く評価されるという欠点がありますので、
DCF方式ではないですが、事業用資産は一括してフローの収益力により評価しつつ、金融資産など事業用資産以外の資産のみ別途換金価値を加算するといった考え方も合理性を有するのではないかと思います。

また、純資産価額方式について現状は賞与引当金、退職給付引当金などの引当金は確定債務でないものとして純資産から控除することが認められませんが、退職給付債務などは金額も多額になり、企業の売買などでも当然に考慮されます。労働当局に届けられた制度があり、当該制度に基づいて支給が適正にされているのであれば、期末における退職金の自己都合要支給額を減額する措置を入れるべきではと思います。

なお、上場株式の評価については現状は時価を基準に評価されますが、オーナー株主については一定のディスカウントをしてあげてもよいのではと思います。市場株価は流通している(一般的には少数の)株の取引価格であって、オーナーが当該価格で保有株を処分できるわけではありませんので。出国税の創設とのバランスで考えて頂きたいところではあります。

以上、思う所を勝手に書きましたが、株式評価については当社のお客様の多数を占める経営者の方に大きな影響がある項目ですので、議論の動向をウオッチして行きたいと思います。

宮口

平成28年度税制改正大綱の公表予定

2015年11月29日

今年ももうすぐ師走に入りますが、与党税制改正大綱が現在急ピッチで取り纏められており、12月10日公表予定とのことです。

昨年に引き続いてかなり広範囲な改正となることが見込まれており注目しています。主な改正項目は下記項目が予定されているようです。

1.法人実効税率の20%台への引下げ
2.減税の財源措置としての租特の縮小や、減価償却につき定率法の適用範囲縮小
3.減税の財源措置としての外形標準課税の増税
4.法人版ふるさと納税制度の創設
5.BEPS行動計画に基づく移転価格文書化義務の強化
6.
消費税増税時の軽減税率導入と、簡易インボイス方式、中小法人に対するみなし課税の導入

なお、縮小が懸念されています中小法人特例は今年は維持の方向のようです。

大綱が公表されましたら本ブログでも要点をご紹介する予定です。また、昨年に引き続き「旬刊経理情報(中央経済社)」誌に大綱の速報解説記事を寄稿することになりました。出版は年明け1月6日となりますが、是非ご覧頂ければと存じます。

宮口

太陽光発電事業ブーム

2015年11月28日

今週、ある太陽光発電事業者の方と面談しました。

太陽光発電事業も買取価格の引下げや税制縮小によりブーム終焉かとも言われていますが、買取価格が42円/1kWhから29円/kWhに引き下がった現在でも表面利回りが10%程度は確保できるとのことでした(例えば20百万円の投資(イメージ土地2百万円、パネル18百万円)で年間売電収入2百万円程度)。

20年間の固定価格買取りですし、経費は月1万円程度のメンテナンス料、損害保険料、固定資産税等程度とのことですので賃貸不動産の利回りが4~5%に低迷している現在においては税制メリットがなくても、検討に値する事案もあるのではと思いました。ただ、参入企業の増加による発電適地の減少や土地取得コストの増加、日照時間の変動などによる収益のボラティリティ―、設備の経年劣化による取替え・修繕費の発生など、リスクもあろうかと思いますので表面利回りのみにとらわれた投資は避けるべき点は不動産投資と同じかと思います。

なお、太陽光パネルなどの設備が即時償却できることもソーラーブームを下支えしてきましたが、グリーン税制に基づく即時償却はH27年3月末で、生産性向上設備投資促進税制による即時償却もH28年3月末をもって終了します。この点、中小企業投資促進(中促)の適用要件に該当すればH28年4月以降も即時償却が可能ですが、「電気事業」は指定業種に該当しないため、単に他社に売電するだけの場合は、要件を満たしません(発電した電気を指定業種の自社事業で活用する場合は要件満たすことも可能なようです。)。

以上、ご興味あればご相談ください。投資は自己責任でお願いいたします。

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