宮口公認会計士・税理士事務所

代表コラム

COLUMN

保険税務の大改正

税務
2019.7.12

2019年6月28日に法人税基本通達が改正され、法人保険についての税制が変更されました。40年ぶりの大改正とのことです。

解約返戻金のある保険については2019年7月8日以降の新規契約分から適用となります。
通達公表即施行ですし、春先は保険会社が節税保険の販売を自粛していたようですのでる駆け込み購入も難しかったようです。なお、既存の契約は影響はありません。

改正の要点は以下の通りです。
①従来、商品別に決められていた損金算入の扱いを一本化:対象は長期平準定期保険や逓増定期保険などの定期保険や第三分野保険など
②最高解約返戻率が50%以下の商品については保険料は全額損金算入
③最高解約返戻率(85%超)の商品については最高返戻率となるまでの期間(最低5年)について以下の金額を資産計上
(例えば解約返戻率90%の保険の場合、当初10年間は保険料の81%が資産計上されるため19%しか損金計上できないことになります。)

 当初10年間:支払保険料 ✖ 最高解約返戻率 ✖ 0.9
 11年以降:支払保険料 ✖ 最高解約返戻率 ✖ 0.7 

上記改正により、従来のような高返戻率かつ高率損金算入という役員保険はなくなりました。今後、各社から新通達をベースとした商品が販売されることになるとは思いますが(例えば確定の返戻率は低めに抑えつつ、運用益を追加還元する保険など)、実質ノーリスクで課税が繰り延べられる商品の開発は中々難しいのではと考えています。

既存契約は対象外とされたのが救いですが、既存契約の解約時の出口戦略につき他の保険への乗り換えができなくなってしまったのが悩ましいところです。

代替案ですが、養老保険によるハーフタックスプランは今般の通達改正の対象とはならなかったので今後も適用可能ですが、原則は全従業員を対象とした福利厚生とする必要があるので役員など特定者のみ対象とした取り扱いは役員賞与認定されるリスクがあります。

もしくは資金が寝る分、保険よりは使い勝手が悪いですが、オペレーティングリースなども商品によっては保険よりも早期償却できるので検討の対象に加えてもよいかもしれません。

今後の保険会社の動向もウオッチしていきたいと思います。

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